確定申告のワンポイントアドバイス⑨

所得控除② 社会保険料控除と医療費控除
(第3685号/2026年2月2日付)
今回は、所得控除の中でも多くの方に関係する
社会保険料控除と医療費控除について解説します。
■ 社会保険料控除
社会保険料控除の対象となるのは、次のような社会保険料です。
- 国民健康保険料(税)
- 国民年金
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険料
これらの年金事務所や市区町村へ支払う社会保険料のうち、2025年中に支払ったものが控除の対象となります。
前年分や翌年分の保険料であっても、2025年中に支払っていれば控除の対象になります。
社会保険料は、税金と同じような性格を持つ負担であるため、所得控除の対象とされています。
■ 生計を一にする親族の保険料
社会保険料控除は、
納税者と生計を一にする親族の分も合算することができます。
国税庁は、公的年金から天引きされている社会保険料について「個人に帰属するため合算できない」との見解を示しています。
しかし、「生計を一にしている」という観点や、制度が作られた当時は口座引き落としやカード決済などが想定されていなかったことを考えると、支払い方法に関係なく、世帯として合算する考え方も成り立ちます。
■ 「生計を一にする」とは
「生計を一にする」とは、必ずしも同居している場合に限りません。
例えば、
- 別居している家族に生活費を送金している
- 学費などを負担している
といった場合には、生計を一にしていると判断されます。
■ 医療費控除
医療費控除は、2025年中に支払った医療費のうち10万円を超える部分が所得控除の対象となります。
ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は計算方法が異なり、医療費の合計額が10万円に達していなくても控除を受けられる場合があります。
■ 高額療養費などの補填に注意
医療費控除を計算する際には、
- 高額療養費
- 医療保険の給付金
など、補填された金額は医療費から差し引く必要があります。
■ 医療費控除の申告方法
医療費控除を受ける場合は、
**「医療費控除の明細書」**を作成して確定申告書に添付します。
健康保険から送られてくる
**「医療費通知」**を利用できますが、
- 薬局で購入した医薬品
- 通院の交通費
など、通知書に記載されていないものについては、自分で集計する必要があります。
■ 医療費控除の対象となる支出
医療費控除の対象になるかどうかは判断に迷うこともありますが、
- 医療行為である
- 医師の処方がある
- 医療保険の適用がある
といった場合は、原則として医療費控除の対象と考えてよいでしょう。
■ セルフメディケーション税制
「スイッチOTC医薬品」(医療用医薬品から市販薬に転用された薬)を購入した場合や、インフルエンザ予防接種などの費用がある場合には、
セルフメディケーション税制
を選択することも可能です。
ただし、この制度は医療費控除との選択制となっています。
■ 健康保険証の問題
政府は健康保険証の新規発行を停止しましたが、資格確認書によって特に問題は生じていません。
健康保険料を支払っているにもかかわらず医療保険が利用できなくなるような制度は、憲法に照らしても問題があります。
社会保障を人質にしてマイナンバーカードの利用を進め、国民監視を強める政策には、引き続き注意が必要です。
※全国商工新聞(第3685号/2026年2月2日付)をもとに作成