確定申告のワンポイントアドバイス⑦

事業経費と家事費
今回は、事業所得の計算で重要となる「事業経費」と「家事費」をどのように区分するのかについて解説します。
■ 事業経費とは
事業所得でいう「経費」とは、例えば次のような支出を指します。
- 材料仕入れ
- 外注費
- 人件費
- 交際費
- 事務所家賃 など
これらは、直接的または間接的に
**「事業収入を得るために必要な支出」**と考えると理解しやすいでしょう。
■ 家事費との区分が重要
一方で、自分や家族の生活に必要な支払いは「家事費」となり、事業経費にはなりません。
確定申告では
事業経費と家事費を区分することが必要であり、ここが所得計算の重要なポイントになります。
個人事業主の場合、事業用と生活用の財布が同じというケースも少なくありません。
例えば、
- 自宅兼事務所の電気代
- 事業で使用するマイカーのガソリン代
などは、**どの程度を経費とするか(案分計算)**を納税者自身が判断する必要があります。
■ 領収書がない場合でも経費になることがある
「レシートや領収書がない」「支出が高額だった」という理由だけで、必ずしも経費にならないわけではありません。
例えば、
- 自動販売機で購入した飲料代
- 現場で職人に差し入れたジュース代
など、事業収入を得るために必要な支出であった事実がある場合は、
伝票や帳簿(手書きのメモでも可)に記録しておくことで、経費として主張することが可能です。
■ 経費否認調査への注意
最近の税務調査では、
- 福利厚生費
- 交際費
- 旅費交通費
などの経費について、納税者に証明を求めたうえで、税務当局が一方的に「不十分」と判断して経費から除外する、いわゆる**「経費否認調査」**が行われるケースがあります。
しかし最高裁は1963年に、
「所得の存在及びその金額について決定庁が立証責任を行うことは言うまでもない」
と判示しています。
つまり、確定申告で計上された経費を否認する場合、
税務署側が「経費ではない」ことを証明する必要があるということです。
■ 減価償却が必要な支出
事業に必要な支出であっても、すぐに経費にならないものもあります。
例えば、
- 機械
- 車両
- 一部の修繕費
などは、固定資産として計上し、減価償却費として処理します。
減価償却とは、
固定資産の耐用年数に応じて費用を分割して計上する方法です。
所得税では、原則として「定額法」により、毎年同じ金額を減価償却費として計上します。
■ 自宅兼事業所の場合
自宅の一部を倉庫や事務所として使用している場合、
- 固定資産税
- 水道光熱費
- 家賃
などについて、**事業使用部分を合理的に区分(按分)**することができます。
所得税法では、
事業経費と家事費を合理的に区分することとされています。
事業所の面積や使用割合などを基準に算定すれば、
その分は事業経費として計上して差し支えありません。
※全国商工新聞(第3683号/2026年1月19日付)をもとに作成